働く女性の健康支援―Ⅴ

更年期障害の治療
更年期障害と診断された後、病院で主に行われる薬物療法は、ホルモン補充療法(hormone replacement therapy:HRT)、漢方薬、向精神薬の3種類です。薬物療法以外には、カウンセリングや心理療法も用いられます。



更年期症状が、女性ホルモン分泌の減少に関連して起きていると考えると、これを補うという点でHRTは、理にかなった療法です。更年期症状全般に有効なだけでなく、閉経後の女性の健康問題として重要な骨粗鬆症や脂質異常症への予防効果もあります。ただし、乳がんや血栓症の既往のある方などは使用できません。

漢方療法は、HRTが禁忌のため行えない患者さんに対して有用なだけでなく、患者さん自身も、最初に行う治療法として漢方薬を希望されることは多くなっています。多くの種類がある漢方方剤の中でも、当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸は三大漢方婦人薬と呼ばれ、更年期障害に対してもよく使用されます。精神症状が主体である場合や、HRTが使用できない場合などには、向精神薬を用いることがあります。

(よぼう医学 2023 Spring)
(吉村 やすのり)

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