今回の調査結果に対するコメント
今回の調査により、月経随伴症状を抱えながらも我慢した経験があると回答した女性が78.6%に上ることが明らかになりました。これは、約8割の女性が月経に伴う不調を我慢しながら日常生活を送っていることを示しています。日本では、女性の社会進出が進む一方、月経に関する理解やサポート体制は依然として不十分です。この結果は、働く女性が不調を我慢せざるを得ない職場環境が、就労意欲や生産性を低下させている現状を浮き彫りにしています。市販薬や休養で対処する人が多い中、今後は症状の背景に潜む潜在的な疾患を見逃さないよう、早期の婦人科受診を習慣づけることが大切です。
月経による不調で休暇を取得した女性は22.1%にとどまり、休暇を取らなかった女性のうち95.8%が仕事のパフォーマンスに影響があると回答しています。月経時には平均で約4割のパフォーマンス低下が認められ、女性は普段の6割程度の能力しか発揮できていないのが現状です。この影響は、離職経験者6.4%の背景にもつながっていると考えられます。パフォーマンス向上のためには、周囲の理解や職場のサポートが不可欠との声が挙がっており、企業による柔軟な休暇制度や在宅勤務制度の推進が求められます。さらに、女性の健康に関して社会全体で月経に関する正しい知識が浸透する仕組みを構築し、女性がセルフケアと職場環境の改善を通じて活躍できる基盤を整えることが重要です。
働く女性の月経随伴症状への対応については、婦人科受診率が9.6%と低く、多くが市販薬の服用や我慢をすることで対処している実態が明らかになりました。市販薬や休養は一時的な症状の緩和に役立つものの、根本的な解決には至らず、月経随伴症状の長期的な影響を軽減するには限界があります。月経による不調が年間約18日もの業務に影響を及ぼしていることを考慮すると、経済損失も無視できません。働く女性が健康を維持し、活躍し続けるためには、医療支援や職場でのサポート体制の充実が急務です。それには、女性の健康に関する正しい情報の発信と、社会全体でその正しい知識を共有し、セルフケアと医療を効果的に組み合わせた基盤を整えることが、今後ますます求められるでしょう。
(女性のための健康ラボ Mint⁺)
(吉村 やすのり)





