英調査会社クラリベイトがまとめた最新の調査によれば、中国科学院が、米ハーバード大学を抜き最も多くの優れた研究者を擁しています。上位1%に入る論文を過去10年間で複数執筆した研究者は、高被引用研究者(HCR)と定義し、2014年から公表しています。
研究機関別では中国科学院が270人で、首位を維持してきた米ハーバード大学を抜きました。中国は清華大学の78人もトップ10に入りました。一方で日本は東京大学の11人が最高で、トップ100にも入りませんでした。1994年に中国科学院は、海外で研究していた研究者を呼び戻す百人計画を開始しました。2008年には、より大きくした千人計画を実施しています。こうした政策が功を奏し、研究の量が増えるのに伴って、質も高まってきています。
国・地域別のHCR数を見ると、米国は2,669人と首位を堅持し、中国は1,275人で2位でした。中国のシェアは2023年が17.9%で、5年前の7.9%から増加しています。しかし、クラリベイトがノーベル賞に値すると評価した研究者に授与するクラリベイト引用栄誉賞では、中国勢の受賞者は過去5年いません。中国はオリジナリティーのある研究が少ないとされています。
(2023年12月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)