先端IT人材の不足

高いスキルのIT人材育成は、デジタル社会の今後の課題です。経済産業省の試算によれば、今後IT関連市場が年2~5%で成長した場合、2030年にはAIやビッグデータなどの新技術に関わる先端人材が、約55万人不足するとしています。サイバー攻撃のリスクも高まり、セキュリティー人材も足りなくなる可能性があります。システムの受託開発など従来型と定義した人材が2~6%の割合で先端人材になれば、2030年の先端人材不足は約27万人と、不足幅を半分に縮められるとしています。
IT関連の職は幅が広く、人工知能(AI)など最先端分野に直接関わる職場がある一方で、受注した大型システムを大勢で細かく分担することも珍しくありません。個人のスキルがほとんど影響しない単調な作業もあります。日本のIT業界は、横並びの仕事を求める職場も多く、人材が育ちにくい構造となっています。意欲の高い人に、活躍の場やスキル向上の機会を積極的に用意するほか、成果に応じた評価で成長を促す環境を整えるべきです。
攻撃者が本気でセキュリティーを突破しようと思えば、企業はひとたまりもありません。何気なく過ごす日常が、絶え間ないサイバー攻撃にさらされています。セキュリティーを軽視しがちな世間の認知や常識を変えることが大切となってきています。

(2021年2月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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