光免疫療法による新薬

厚生労働省の部会は、従来の治療が効かなくなった頭頸部(けいぶ)がん患者の新たな治療法として、光免疫療法で使う新薬であるアキャルックス点滴静注の製造販売の承認を了承しました。光免疫療法で使う製品が承認されるのは世界で初めてです。頭頸部に発生した扁平上皮がんが再発するなどし、手術や放射線治療などの従来の治療が効かなくなった患者が対象です。扁平上皮がんは、頭頸部がん患者(年間約2万8千人)の約9割を占めています。
新薬は、近赤外光をあてると反応する化学物質を、がん細胞の表面にある特定の分子EGFR(上皮成長因子受容体)に結びつく性質があるたんぱく質(抗体)に結合させたものです。点滴で投与し、約24時間後に患部に近赤外光をあてると、がん細胞に結合した薬と光が反応し、がん細胞が破壊されます。将来的には、食道がんや大腸がんへの応用も期待できます。むくみや痛みといった副作用はありますが、従来の薬物治療で起こり得る全身的な副作用はないとされています。

(2020年9月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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