厚生労働省は、血液からつくる医薬品である免疫グロブリン製剤の増産を支援します。免疫グロブリン製剤の国内自給率は、2019年度から低下基調にあります。以前は95%を超えていた国内自給率は、2023年度には75%となり、前年度から8ポイント減少しています。血液は足りていますが、生産が追いついていません。
血液製剤は、血液法で国内の献血で集められた血液を原料とすることが原則とされています。過去に起こった薬害や、血液が先進国に偏り過ぎないようにする国際的公平性への配慮からです。免疫グロブリン製剤は、乳幼児に多い川崎病のほか、重症感染症や神経に関わる指定難病など様々な病気の治療で使われています。この薬の治療対象となる患者は、計10万人を超えるとされています。近年この薬で治療できる疾患の対象が広がり、需要が高まっています。
輸入薬は海外での需要増や貿易摩擦などで供給が止まる可能性があり、国内自給率が低くなると治療薬が行き渡らなくなるリスクがあります。免疫グロブリン製剤の需要は、国内だけでなく海外でも高まっています。

(2025年3月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)