児童手当の拡充を

政府は、児童手当の拡充に向けた検討に入ります。児童手当とは、子育て世代の費用負担軽減のため、中学生以下の子どもを育てる保護者に現金給付する制度です。0~2歳には月額1万5,000円、3歳から中学生には1万円を支給しています。3歳から小学生の第3子以降は、1万5,000円に増額しています。世帯主の年収が960万円以上の世帯は、特例給付として1人あたり一律5,000円に減ります。10月からは、世帯主の年収が1,200万円以上の場合などは、特例給付も廃止となり手当がなくなりました。
制度は1972年に始まりました。当初は第3子以降を対象として月額3,000円を支給しました。その後、所得制限を設けながら第1子、第2子に支給が拡大しました。民主党政権が打ち出した子ども手当は所得制限を設けず、2010年度は中学生以下の児童に一律1万3,000円を支給しました。
日本は、子育て世帯向けの現金給付が欧州各国に比べて手薄になっています。OECDによれば、家族関係の社会支出における現金給付は、GDP比で0.65%となっており、英国の2.12%やフランスの1.42%とは開きが大きくなっています。政府は来年夏にまとめる経済財政運営と改革の基本方針で、子ども予算を倍増する道筋を示す方向です。

(2022年12月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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