児童扶養手当とは、低所得のひとり親家庭の生活安定や自立支援のために自治体から支給される手当のことをいいます。子1人の場合、収入に応じて1万120~4万2,910円が支給され、子の数に応じて加算があります。この児童扶養手当の申請をめぐり、自治体側の対応について様々な問題が指摘されています。児童扶養手当の受給者に対し、一部自治体が交際相手や妊娠の有無などを尋ねる調査を行っています。事実婚状態にないかどうかのチェックという名目ですが、ひとり親や支援団体はプライバシー侵害の声が上がっています。
交際相手がいるかどうかを探り、生活を援助してもらっているのではと疑うのは女性蔑視ではないでしょうか。事実婚かどうかは両者の合意で決めることで、他人が判断することではありません。自治体が事実婚を排除する制度設計になっているため、私生活の監視や干渉、ライフスタイルの差別につながります。事実婚など親のライフスタイルにかかわらず、低所得世帯の子どもが受け取れる手当てを充実させることが大切です。
(2019年10月2日 毎日)
(吉村 やすのり)