児童扶養手当とは、ひとり親家庭の生活支援目的で支給されます。支給額は所得や子どもの数で変わり、所得制限があります。2017年度末で97万3188世帯が受給しています。今年度は、子ども1人の家庭で年収160万円までなら、満額の月4万2910円が支給されます。収入が増えるにつれて減額され、年収365万円以上は支給対象外になります。児童扶養手当は、ひとり親の生活の安定と自立を目的に支給され、法律婚でなくても、事実婚関係がある場合は対象外とされてしまいます。
児童扶養手当の申請の際に、市役所などの窓口で異性との交際状況などを詳細に確認されることが、多くの受給者を悩ませています。自治体側は、不正受給を防ぐためとしていますが、書面で異性との交際関係を確認したり、同居や生計費の援助の有無を尋ねる項目のほか、出産予定があるかどうかを尋ねる項目もあります。民生委員に家庭訪問をさせて交際状況を聞きとっている自治体もあります。原則、同居とされ、別居でも頻繁に定期的な訪問があり、さらに生計費の補助も受けている場合は、事実婚とみなされます。事実婚とみなされれば、児童扶養手当は支給されなくなってしまいます。不正受給を防ぐためとはいえ、ここまで個人情報を聞き出すのは問題だと思います。
(2019年8月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)