文部科学省が公表した2018年度の問題行動・不登校調査によれば、自殺した小中学生・高校生は332人に上り、3年連続で増えています。国内の自殺者数が9年連続で減少する中、子どもの自殺はむしろ増加傾向にあります。今回の調査によると、自殺は小学生5人、中学生100人、高校生227人で中でも高校生は前年度より67人も増えています。
思春期以降はホルモンバランスの変化で、衝動性が高まりやすい状況にあります。衝動的な行動を制御する機能を担う脳の前頭葉の発達が十分でなく、生きることに否定的になるなど、自殺関連行動の危険性が高いとされています。自殺の背景は複合的な要因が考えられます。自殺予防を考えるためには、自傷や死にたいと口にするなど特定の事象に注目するのではなく、学校や家庭などでのネガティブな体験をどう社会全体で減らしていけるかを考えるべきです。
(2019年10月18日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)