虐待の情報を把握した児童相談所や市区町村の担当部署が、虐待の深刻度をはかる目的でリスク評価を行います。子どもや保護者、医療機関、学校などから聞き取り、虐待の内容や子どもの精神状態、世帯の経済状況など数十項目に及ぶチエックシートを基に評価します。虐待の緊急度を判断する際の重要な資料で、連携が必要な関係機関の間で共有されます。
厚生労働省の専門委員会の調査によれば、2007~2020年に起きた子どもの虐待死亡事例のうち、児童相談所や市区町村が、虐待の危険度を判断するリスク評価を行っていなかったケースが2~3割に上っていました。評価を行った上で、リスクがそれほど高くないと判断していた事例も4~3割に上っています。
検証では、心中も含めた虐待死亡事例の1,162人のうち、児童相談所と市区町村のいずれの関与もなかった事例が65%に上っています。関与がない場合でも、母子保健の担当部署や医療機関、子どもやきょうだいの保育園や学校など、関係機関との関わりは一定程度あることにより、多様な機関が連携して見守りや相談体制を作り、情報共有することで、虐待リスクを下げることが必要です。
(2022年9月13日 読売新聞)
(吉村 やすのり)