児童虐待―Ⅰ

現状
 2014年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待の件数は、前年度比20.5%増の88931件にも上りました。都道府県別では、大阪が13738件で、神奈川県、東京埼玉、千葉と続き、上位5都道府県で全体の半数超を占めています。児童相談所所長が家庭裁判所に親権停止を申し立てた事案は、15自治体で23件にも上っています。このように児童虐待は大都市に集中しており、虐待により親権停止となった事例は、17件にも達しています。この事例には、先天性の障害がある子供の養育を両親が放棄した、子供の治療のための輸血を両親が信仰上の理由から拒んだなどが多くを占めています。
 児童虐待事例の検証結果によれば、虐待を受けて死亡したのは36人にも上ります。亡くなった子供の年齢は、3歳未満が24人と3分の2を占めており、0歳児が最多の16人の44.4%でした。死亡したのは36人のうち、実母が加害者だったのは16人、実父が8人、実母と実父両方だったのが5人です。虐待に対応する体制整備は追いついてないのが現状です。児童虐待はあってはならない行為です。日本産科婦人科学会もこの児童虐待、特に新生児・乳児の虐待の対策について真剣に取り組んでいく所存です。

(2015年10月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。