身体的DVと暴言DV
殴る・蹴るの身体的DVと、言葉で怒鳴る、ののしる、なじるという暴言DVです。この2種類のどちらが脳に悪い影響を及ぼすかというと、言葉です。恐ろしいことに暴言DVの脳への影響は、身体的なDVよりも6倍も悪い影響があるということが分かってきました。身体的な暴力よりも罵声や怒声、暴言の方が脳に恐ろしい影響を与えるのです。DVを身体的DVに限定してしまうと被害を隠してしまうことが分かってきました。
虐待を受けた時期も大切です。驚くべきことに11~13歳、つまり小5から中1ぐらいの時期にDVを受けた場合に、最も大きな被害が出ることが分かってきました。もうこの位大きくなったら大丈夫だろうという親の安易な気持ちは考え直す必要があります。
このように、激しい体罰、暴言、親のDVを見聞きすることによって脳が変わっていくのです。もう子ども虐待の加害者である親を犯罪者扱いして終わりでは済まない時代に入ってきました。それは後々の世代に響くのです。子育て困難によってこのように脳が変わっていって、それが世代を超えて繰り返されることで、社会に大きな影響を与えていくことになります。
(「周産期から見つめなおす児童虐待:アタッチメント障害の脳科学」)
(吉村 やすのり)