警察庁の集計によれば、2018年に全国の警察が摘発した児童虐待事件は1,380件で、被害を受けた子供は1,394人に上っています。いずれも前年から2割増え、過去最多となっています。虐待により死亡した子供は36人で、前年から22人減っています。虐待の疑いがあるとして、警察が児童相談所に通告した子供は、8万252人に達しています。発覚が夜間や休日などの理由で、警察が一時的に保護した子供は4,571人でした。摘発事件で被害を受けた子の性別は男児がやや多く、加害者は実父や継父など男が7割超を占めています。8割が殴る、蹴るなどの身体的虐待、性的虐待が2割でした。子供の前で配偶者を殴るといった心理的虐待は、通告件数では7割を占めていますが、刑事事件として摘発されるケースは限られています。
虐待への社会的関心の高まりで通報する人が増えています。虐待対策では、警察や児童相談所など関係機関の連携がカギを握っています。しかし、児童相談所職員だけで保護者に毅然と対応するのは無理があります。児相は案件を抱え込まず、把握している虐待家庭の情報を警察と共有する責任があります。
(2019年3月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)