責任や役割で報酬を変えるジョブ型が一般的な欧米では、横一線の初任給という概念自体がありません。雇用制度の違いが待遇などの差に表れています。入社1年の年額の基本給は、米国が平均632万円、ドイツで534万円です。日本の262万円を大きく上回っています。物価などの違いもありますが、終身雇用が前提の日本では、スタート地点の初任給が抑制されています。
欧米が採用しているジョブ型では、人事部ではなく配属先の幹部が採用面接の時点で給与を決める裁量を持つのが一般的です。報酬は自らのスキル、実績をアピールして勝ち取るものだとの考え方が一般的です。新型コロナウイルスの感染拡大が雇用を脅かし、これまでの日本的な正社員を再評価する動きが出てきます。リモートワークなどで正社員の働き方も変わると思われますが、これまで以上に正社員一人ひとりに成果が求められることになります。
(2020年4月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)