厚生労働省は、患者の遺伝情報を網羅的に調べる「全ゲノム解析」についての実行計画を示しています。数年間は先行解析と位置づけ、病院や研究機関などが持つバイオバンクに既に保存されている最大9万3,000人分のがん細胞や血液を対象に解析します。研究利用などが見込める2万2,000人分を優先し、がんと難病の病態解明や創薬を目指します。
実行計画によると、解析対象の内訳は、がんが6万5,000人分、難病が2万8,000人分です。解析には、患者のゲノムと、正常な血液や親のゲノムとの比較が必要なため、解析対象となるゲノムは16万8,000に上ります。さらに、新たに患者から提供された検体を解析対象に含めます。
数年間は、国内のバイオバンクにあるがん細胞や血液といった検体などについて、提供者の意向を確認した上で2万2,000人分について優先的に解析します。がんでは、5年生存率が低い難治性のがんや、希少がん、遺伝性のがん、難病では一部の遺伝子解析では原因遺伝子が突き止められなかった病気などが対象となります。
(2019年12月18日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)