全国がん登録

 今年1月より、国立がんセンターで全国のがん登録が始まりました。これまでは地域がん登録と呼ばれ、都道府県の取り組みはあくまでも努力目標であり、収集率や追跡率などで大きな地域差がありました。病院から都道府県への情報提供も任意でした。新制度では全国9千近くの病院からの提供が義務となりました。
 患者はデータ提供を拒むことができません。都道府県が国に渡すデータも匿名から実名となり、県外への転院などで重複する患者をチェックできるようになりました。これまでは実数でわかっていたのは死亡者数だけであり、年間の発症者数や5年生存率は、一部の府県のデータから全国値を推計していました。新制度では、より正確な分析が可能になります。治療法の評価のほか、がん検診や地域の医療体制をよりよくすることにつなげられると思われます。

(2016年2月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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