SLEは体を守る免疫が過剰に働いて起こる自己免疫疾患の一つです。細菌やウイルスなどの外敵を倒す免疫機能が自分まで攻撃するようになり、全身の臓器で炎症を引き起こします。国内患者は約7万人で、女性が約9割を占めており、20~40代に発症することが多いのが特徴です。
代表的な症状は、日光を浴びた際の発疹や水ぶくれ、顔のほおにできる蝶が羽を広げたような発疹である蝶形紅斑です。長期間の発熱が続き、倦怠感や疲労感も伴います。腎臓の障害は放置すると重篤になり、治療が長期にわたることがあります。また、うつや統合失調症に似た症状になることや、認知症のように忘れっぽくなったり、怒りっぽくなったりする場合があります。
治療はステロイドの投与が基本です。体全体の免疫機能が抑制されるため、副作用で感染症にかかりやすくなります。症状が落ち着いたら、少しずつ量を減らします。免疫抑制剤は腎炎の治療などに使いますが、妊孕性温存に注意が必要です。妊娠時に悪化することがあるので、最低で半年、できれば1年以上、症状が落ち着いているといった条件を満たしてからが良いとされています。
(2017年4月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)