平成の30年間で4年制の公立大学は39校から93校に増え、86校の国立大学を上回っています。多くの自治体が、若者の流出を止めるという目的を掲げ設置したためです。急増の一つのきっかけは、看護師不足の解消に向け、看護系の大学や学部の設置を自治体に促す法律が1992年度に施行されたことによります。公立の短大や専門学校が次々と4年制大学に改組されました。現在は49校に看護系課程があり、公立大学の特色の一つとなっています。
自治体や首長の強いリーダーシップがあれば、スムーズに設置されるのが、公立大学の強みとなっています。経営難に陥った私立大学を自治体などが譲り受け、公立化するケースが増えています。大学は若者を定着させるための貴重な存在です。しかし、財政状況が厳しいため、自治体は公立大学への資金投入を抑える傾向にあります。公立大学協会によると、2006~2016年度に公立大学の学生数は2割弱増えましたが、公的資金の投入額は横ばいで、学生1人当たりに換算すると約2割減っています。
(2019年7月12日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)