日米の金利差拡大などを受け、為替は4月に1ドル=130円台を付けました。足元でも120円台後半と2002年以来の円安水準を迎えています。円安局面では重厚長大産業を筆頭にした輸出産業に注目が集まりがちですが、20年間のうちに海外への生産移管が進んだり、中国・勧告勢の攻勢にさらされたりした製品も多くなっています。2002年と比べると、世界で強い競争力を持つメード・イン・ジャパンの顔ぶれは大きく変化しています。
20年前に1ドル=130円を付けた2002年と2021年の輸出額を比べると、2021年の輸出総額は約83兆913億円で、2002年比で約1.6倍となっています。この間に輸出量、金額とも伸ばした品目には、お茶、化粧品、果物などメード・イン・ジャパンが品質の保証書代わりとなる食品や日用品が目立っています。自動車や鉄鋼に比べ規模こそ小さいのですが、日本の看板商品になっています。
20年前と比較しても、金額ベースでの輸出の稼ぎ頭は、規模の大きい自動車で変わっていません。しかし、2021年の輸出額は2002年比で22%増と、輸出全体に比べて伸び悩み、輸出台数は1割減少しています。円高局面で生産拠点の海外移管を進めたことが影響しています。円安は良い事ずくめではありません。輸出にとってはプラスでも、輸入する原材料の高騰などが企業の利益を圧迫しています。
(2022年5月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)