国内外から批判された東京都議会のヤジ問題は、「信頼回復および再発防止に努める」という決議でうやむやな内に決着した。女性都議は出産や子育て支援を取り上げ、都にその対策を求めた。東京の少子化は、東京だけの問題ではない。若い生殖年齢にある男女が仕事のない地方を離れ、出生率が全国一低い東京に集まってくる。東京を出産と育児がしやすい都市にしないと、日本全体の少子化は止まらない。女性都議の質問は、都政上極めて重要な課題に言及している。
ヤジが女性蔑視にあたることは今更議論の余地はないが、都議も少子化問題の重要性をもう少し学んでほしい。少子化対策は待ったなしという危機感の欠如が、こうした差別発言に繋がったのだと思う。猛省を促したい。
(2014年6月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)