再生医療による重大事故

 再生医療をうたい細胞を投与し死亡などの重大事故につながった例が2024年から相次いでいます。厚生労働省が承認する場合と違い、クリニックが自由診療で提供する際は、安全性や効果が十分検証されていないケースがあります。

 再生医療は、細胞などを投与して体の機能を再生させる医療です。厚生労働省は、臨床試験で効果や安全性を一定程度確認したものを再生医療等製品として承認し、保険診療で使えるようにしています。一方、保険の適用されない自由診療で、再生医療を標榜して治療サービスを提供するクリニックも多く存在します。安全性確保のために計画を事前審査する仕組みはありますが、事故を防ぎきれていません。

 自由診療で再生医療を提供するクリニックの中には、十分な医学的根拠に基づかない効果をうたう施設もあります。自由診療には保険が適用されないため治療費が数百万円などと高額になる例もあり、十分な注意が必要です。がんなどの重大な病気の再生医療や免疫療法では、優良誤認が疑われる広告が溢れており、行政側も取り締まれていません。効果を断定的に表現していたり、何にでも効くと様々な効果をうたったりするものには注意が必要です。

(2025年11月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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