京都大の小西郁夫教授らは、悪性黒色腫(メラノ-マ)を治療する新薬ニボルマブが、再発した卵巣がんに効果があることを、医師主導の臨床試験で確認しています。通常、がんができるとTリンパ球をはじめとする体の免疫機能が攻撃を仕掛けますが、がん細胞はPD-L1と呼ばれるたんぱく質を作り、免疫細胞のPD-LIというたんぱく質と結びつくことで、免疫機能にブレ-キをかけます。それにより、がん細胞は免疫細胞の攻撃を受けにくくなり、がん細胞は増殖します。ニボルマブはこの結合に割り込んで、がん細胞への攻撃を再開させる働きがあります。
研究チ-ムは抗がん剤が効きにくくなった再発卵巣がんの患者20人にニボルマブを2週間投与したところ、2人でがんが消え、1人は縮小したとしています。今後、効果や副作用の検証を進めることが必要ですが、再発卵巣がんには有効な薬剤がない現状を考えれば、少数例でも効果がみられたことは、意義深いと考えられます。
(2015年9月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)