日本医学会は、妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新出生前診断について、35歳以上に限ってきた検査を35歳未満にも認める新たな指針を公表しました。従来の認定施設の下に連携施設を設けるなどして検査を受けられる病院の数も拡大します。3月から新指針での認定受け付けを開始します。
これまで日本産科婦人科学会は、遺伝カウンセリングなどの体制が整った認定施設でのみ実施を認めてきました。しかし、体制の整っていない無認定の民間クリニックが急増し、十分な結果の説明がないまま妊婦が混乱する問題が起きたため、厚生労働省もオブザーバーとして参加し、新たな制度作りを進めてきました。
検査の主な結果は胎児のダウン症などのリスクが上る高齢の妊婦や、過去に染色体異常のある子どもを妊娠した経験がある人です。しかし、遺伝カウンセリングを実施しても不安が解消されない場合は、本人の意思が尊重されるべきであるとし、全年齢に認めました。
指針では、妊婦が自律的に検査について考えられるように、市町村で母子健康手帳を交付する際に誘導とならない形で情報提供し、検査を求める人は、学会が認定する施設を訪れるようにする仕組みが盛り込まれています。
(2022年2月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)