出生前診断とは
近年の出生前診断技術の進歩により、多くの胎児疾患の診断が可能となってきています。これらの胎児疾患の中には、胎児治療により病態の回復あるいは進行の抑制などの予後の改善が可能なものがあるため、胎児疾患の出生前診断の意義か認識されるようになってきています。また新たな方法として、体外受精による初期胚から一部の割球を接種して行う着床前遺伝子診断が開発され、すでに世界各国で臨床応用されてます。
出生前診断とは、染色体や遺伝子の異常による疾患や胎児の奇形の有無について、出生前に検査する診断法と定義されます。出生前診断には羊水穿刺、絨毛検査臍帯穿刺などの確定的検査と、超音波検査、母体血清マーカースクリーニング検査、などの非確定的検査があります。胎児の確定的な遺伝学的検査を行うためには、羊水、絨毛、胎児血などのサンプルを得ることが必要となり、胎児に侵襲的な操作を加えることになります。胎児染色体異常の非確定的なスクリーニング検査としては、妊娠初期、中期に母体血清マーカー検査、超音波と血清学的検査を組み合わせて行うスクリーニング検査、そして2013年4月より臨床検査として開始された母体血胎児染色体検査(non-invasive prenatal testing,NIPT)などがあります。
(吉村 やすのり)