出生数減少歯止めかからず

厚生労働省の公表によれば、国内で2019年に生まれた日本人の子どもは86万4千人になり、統計を始めた1899年以降で初めて90万人を下回るとの見通しです。前年より5万4千人少なく、親になる世代の人口が減っていることが大きく影響しています。これまで国立社会保障・人口問題研究所は、90万人を下回るのは2020年と推計しており、見通しを上回るペースで少子化が進んでいます。
この出生数の減少は、前年比5.92%減であり、5%を超す減少率は1989年以来30年ぶりとなります。総務省によれば、2019年7月時点で25~39歳の出産期の女性は969万人で、前年同月より約21万人減っています。1971~74年生まれの団塊ジュニアが45歳以上になるなど、複数の要因が重なって出生数の急減を招いた可能性があります。新元号にあやかった令和婚、令和ベビーの効果が期待されましたが、婚姻件数は前年比0.59%減の58万3千組にとどまっています。
死亡数は、戦後最も多い137万6千人(前年比1万4千人増)です。出生数から死亡数を引いた自然減は51万2千人(同6万8千人増)となり、初めて50万人を超える見通しです。人口の自然減は13年連続となり、死亡大国ともいえる状況です。
出生数が最多だったのは、第1次ベビーブームだった1949年の269万7千人です。第2次ブームの1970年代前半以降は減少傾向が続き、2016年から100万人を下回っています。この推計によれば、2015年に1億2,710万人だった総人口(日本に住む外国人を含む)は、2029年に1億1千万人台、2042年に1億人台、2053年に9千万人台になります。

(2019年12月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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