出産の前後には様々な休業と給付制度があります。まず、出産費用が、出産育児一時金として支給されます。国民健康保険や勤務先の健康保険に入っているか、夫の保険の扶養者である妻が対象です。子ども1人につき基本的に42万円、双子や三つ子なら人数分のお金がもらえます。病院の出産費用が42万円より高ければ差額を自分で払うし、安ければ差額を受け取れます。
出産にともなう休みには、産前産後休業制度があります。出産日を含めて産前の6週間は、請求すればお休みが取れます。双子など多胎妊娠なら14週間とさらに長くなります。そして出産の翌日から8週間は就業禁止です。6週間を過ぎた後の2週間については、女性が請求して医師が認めれば働くことができます。
雇用保険に入っていて、育休に入る前の2年間に、月11日以上働いた月が12カ月以上あれば、育児休業給付金がもらえます。妻も夫も対象となります。育児休業を始めて180日間は給与の67%、その後は50%が支給されます。給付金には限度額あり、どんなに稼いでいても育休に入って6カ月間は月額30万4,314円で、その後は22万7,100円までです。給付金は非課税です。
出産前の女性は労働時間などについても法律で守られています。労働基準法では、妊娠中の女性が求めた場合は原則、軽い業務に転換させなければなりません。また妊娠中の女性と産後1年を経過していない女性が請求すれば、時間外・休日労働や深夜業をさせてはいけないことになっています。労働基準法で産前産後休業中とその後30日以内の解雇はできないことになっています。
(2020年6月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)