私ども夫婦は、たまたま同じ職業を志し、科は産婦人科、形成外科は異なったものの、共に外科系の医師である。外科を志すものにとって手術手技の修得が第一義であり、それには一定の期間を要する。我々が医師になった頃は、就業時間帯などは無いもの同然であり、上級医師より早く帰ることなど全く許されない時代であった。また、女性医師の割合はもちろん1割以下であり、女性のためのアメニティーなどは考える余地もなかった。前日男性医師が当直した同じベッドにシーツも替えずに就眠しなければならない、同じように当直回数をこなすなど当たり前のことであった。しかし、当時の女性医師は苦しい状況にありながらも、高いモチベーションを持ち続け、子育てをし、立派に子どもを育て上げ、60歳を越えても仕事を継続していることが多い。女性自身がキャリアを形成したいというモチベーションを持ち続けることが大切であるように思う。
女性が子育てをし、キャリア形成するためにはパートナーの協力は必須である。近年、男性が育休を取ることの重要性が強調されるようになっているが、子育ては男女二人ですることが基本であるとの考え方からすれば、至極当然のことである。男性は育休期間のみならず、子育てに積極的に参加することである。そのためには、男性は女性からの自立が必要となる。別居婚であれば、男性が料理、洗濯、掃除など家事全般を行えることが必要となる。同居であれば、女性が子育てを中心に行うのであれば、家事全般は男性がするなどの配慮が大切である。
(吉村 やすのり)