副腎疲労とは

副腎とは左右の腎臓のすぐ上にある、クルミほどの小さな一対の臓器です。生命維持に必要なホルモンを50種類以上分泌しています。中でも重要なのが、心身にストレスがかかると火消し役として分泌されるコルチゾールです。精神的なストレスに限らず、食生活の乱れや環境汚染など、体に炎症を起こすストレスにも対抗します。
適量のコルチゾールには、血糖、血圧、免疫機能、神経作用を調整し、体の状態を適正に保つ働きがあります。しかし、ストレス過多が続きますと、副腎はそれに対処するため、コルチゾールを過剰に分泌します。やがて副腎が疲れ果て、コルチゾールを分泌しづらくなると、ストレスによるダメージを抑制できなくなり、心身に様々な不調が現れます。これが副腎疲労のプロセスです。
副腎をケアするためには、規則正しい生活で、自律神経の乱れを整えることが大切となります。副腎が疲れていると、腸が炎症を起こしやすくなります。腸の炎症の引き金になることが多い小麦由来の食品やカフェインは、控えめにすることが大切です。免疫力を落としたり、老化につながったりする体の酸化もコルチゾールの無駄遣いにつながります。抗酸化に役立つ緑黄色野菜を積極的にとることが必要です。腹式呼吸によって自律神経の働きを整え、心身をリラックス状態に導くことも役立ちます。

(2019年5月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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