15歳以上の働く意思のある人の数を示す労働力人口が増え続けています。2024年の平均は6,957万人で、7千万人に迫る勢いです。65歳になっても働こうとする人は増えています。労働力人口に占める65歳以上の割合は、2000年には7.3%でしたが、2024年は13.6%と2倍近くになっています。年齢別でみると、2024年は65~69歳の半数超、75歳以上でも1割超が働いていることになります。
労働力調査の2024年の就業者数を比較可能な2002年と比べると、増加率が大きい業種は、医療・福祉の94.5%増や情報通信の84.8%でした。高齢化で介護・福祉の需要が増えているほか、IT化の進展で産業構造が変わっていることなどが背景にあります。一方、コロナ禍前の2019年に421万人だった宿泊業・飲食サービス業は、2021年に371万人まで落ち込み、2024年は407万人まで回復しましたが、コロナ禍前の水準には戻っていません。

働く意思のある女性も大きく増えています。2024年は3,157万人と過去最多で、2000年と比べて404万人増えています。働く女性は、30~40代で結婚や子育てで仕事から離れて、子育てが一段落すると再び仕事に戻る傾向があり、M字カーブだと指摘されてきました。落ち込みのカーブが目立った2000年と比較しても、2024年は落ち込みがなくなり台形の形で推移しており、M字カーブは解消しつつあります。
女性の未婚率が増えていることも影響していますが、結婚や子育てを経ても働く女性は増えています。政府や企業が、仕事と育児の両立を支援する施策や取り組みを増やしていることが後押ししています。また、女性の高学歴化が進み、家庭内の役割分担について、男性片稼ぎ型モデル、男は仕事、女は家庭を標準とする意識が薄れてきています。

(2025年3月31日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)