団塊の世代が後期高齢者になる2025年に向け、地域ごとに効率的に医療を提供することが課題になってきています。そのため、都道府県は地域医療構想の策定を進めています。病床数は地域によって大きな差違があり、人口10万人あたりの病床数が多い県では、病床の削減が必要となります。地域医療構想においては、医療機関を病気や怪我にすぐ対応する急性期医療、リハビリを実施する回復期医療、長期療養に対応する慢性期医療などに分け、それぞれどの程度の入院ベッド(病床)が必要かなどを定めることになります。
現在は急性期に対応する病院が多く、軽症から重症、慢性病にいたるまで様々な人が運び込まれます。病床数が多い割に医師や看護師が少なく、密度の低い医療になって入院が長引くなど、非効率な形になっています。地域によっては急性期の病床を減らしたり、人員を厚くしたりして、効率的な医療体制をつくり、入院期間を短くすることを目指します。さらに、回復期の病院や在宅医療・介護を充実させ、増え続ける高齢者が自宅などに戻って安心して療養できる体制をつくります。しかし、病床削減が必要な場合に医療機関が納得するかどうかが問題となります。わが国の病床数は欧米と比べて明らかに過剰であり、医療費削減のためにも、病床数を減らすことが大切です。
(2016年3月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
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