動物の受精卵の分割が始まった胚に、ヒトの細胞を注入してつくる胚のことをいう。
2001年8月の特定胚指針においては、動物性集合胚の作成と原始線条が現れるまでの14日間の培養は認められていたが、動物の体内への移植は禁止されていた。今回の総合科学技術会議の生命倫理専門調査会の方針では、動物性集合胚の動物への移植を可として、動物を利用してヒトの移植用臓器を作るための基礎研究を認めることとした。
再生医療への応用が期待されるiPS細胞は、さまざまな臓器の細胞にはなりうるが、臓器や臓器の一部の組織を作ることは困難である。そのため動物性集合胚を利用することにより、動物の体内で目的とするヒトの臓器を作らせることができる。すでに東京大学医科研ではブタの体内で別のブタの膵臓を作ることに成功している。しかしながら、動物の体内でヒトの臓器を本当に作ることができるか、あるいは動物体内での未知のウィルスに感染する可能性など、医学的、倫理的、そして安全面における課題も多い。臨床応用にあたっては乗り越えなければならないハードルは多いが、基礎研究は推進すべきであると考えられる。
(吉村 やすのり)