厚生労働省は、医学部の学生が臨床実習の際にできる医行為の内容を見直します。医学部の段階で経験することが望ましい診察、治療などの内容を明示し、実習への導入を促して質の高い医師の養成につなげようとしています。医行為とは、医師の医学的判断や技術なしに行うと人体に危害を及ぼす恐れのある行為のことをいいます。厚生労働省は、各大学の臨床実習の内容などを調査して課題を洗い出し、具体的にどのような医行為を実習中に学生に経験させるのかを検討します。
医学生は6年間の学部教育で講義や臨床実習などを受け、国家試験で医師免許の取得を目指します。医学部にいる間に基本的な医療技術や経験を身に付けることが求められます。しかし、学部での臨床実習の内容は明確に定められていないため、大学によって期間などにばらつきがあります。医学生が実習中に患者を傷つけた場合には賠償責任などが発生することもあります。このため臨床実習で医行為をほとんどさせず、見学にとどめている医学部もあります。
(2018年3月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)