8月23日の日本生殖医学会倫理委員会で決議された未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結・保存のガイドライン(医学的適応)の案である。
1)悪性腫瘍の治療等、医学的介入により性腺機能の低下をきたす可能性を懸念する場合には、未受精卵子あるいは卵巣組織(以下未受精卵子等という)を凍結保存することができる。
2)凍結・保存の対象者は、原疾患の治療に係る主治医の許可が得られる者に限る。ただし、凍結予定の卵巣に悪性腫瘍が認められる場合は卵巣組織を凍結・保存することはできない。
3)希望者が成人の場合は本人の同意に基づき、また未成年者の場合は本人および親権者の同意に基づき、未受精卵子等を凍結・保存することができる。
4)実施にあたっては、口頭および文書を用いて未受精卵子等の採取、凍結と保存の方法や、凍結された未受精卵子等による生殖補助医療(顕微授精)について十分に説明し、同意権者の同意を得るインフォームド・コンセント(IC)を実施しなければならない。
5)凍結された未受精卵子等は、同意権者からの破棄を意志が表明されるか、本人が死亡した場合は、直ちに破棄する。生殖可能年齢を過ぎた場合は通知の上ではきすることができる。
6)凍結された未受精卵子等を、本人の生殖以外の目的で使用することはできない。
7)同意権者からの破棄の意志が表明され、また本人が未受精卵子等を生殖医学の発展に資する研究に利用することを許諾した場合は、法律や国・省庁ガイドラインに沿い、ICなどを含めた必要な手続きを改めて施行しなければならない。
注釈
項目4)のICにおいては、凍結・保存に係る医師が以下の諸点について説明する。
(1)卵子あるいは卵巣組織の凍結保存の方法ならびに予想される成績とリスク
(2)凍結保存した卵子あるいは卵巣組織の保存期間および破棄の手続き
(3)凍結した卵子あるいは卵巣組織を用いた生殖補助医療の方法および予想される成績とリスク
(4)凍結および保存の費用、その他
《読売新聞 8/24》
(吉村 やすのり)