厚生労働省によれば、医師数は人口10万人あたり京都府の307.9人から埼玉県の152.8人と2倍以上の差があります。都道府県内を分けた医療提供の地域単位である2次医療圏でも、最大で10倍以上の差があります。これら地域格差を是正するため、厚生労働省は、法改正により、目標や具体策を盛り込む医師確保計画の策定を都道府県に義務付けます。
医師が都市部などに集中する医師偏在について、都道府県の権限を強めて改善を促します。医師不足の解消のため、大学医学部に地元枠を設けることを、都道府県が地元の大学に要請できるように医師法と医療法を改正する方針です。地元枠とは、医学部定員の一部を地元出身者に限定する制度です。地元出身者は卒業後もその地域に残る割合が高くなります。2015、2016年に臨床研修を終えた医師を対象にした厚生労働省の調査によれば、地元出身者がその都道府県に残る割合は78%です。しかし、2016年時点で、地元枠を設ける大学医学部は全体の6割弱に過ぎません。
もう一つの医師偏在対策として奨学金制度があります。都道府県が医学部の学生に授業料などを貸し、その地域の医療機関に一定の期間、勤めると奨学金を返済しなくてよいとする制度です。全都道府県にありますが、そのうち43は対象を地元出身者に限っていません。貸与したもののうち、4分の1は地元出身者でありません。また、返済の免除に必要な地元での勤務時間も、4年から9年以上とばらつきがあります。今後は、貸与するのは地元出身者とし、勤務時間は、卒業後9年間を基本とするよう厚生労働省は求めています。
(2017年11月4日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)