日本経済新聞らの調査によれば、医療費抑制への反対は12%にとどまっています。賛同できる対策として最多だったのは、かかる医療費に対し健康改善の効果が小さい無価値・低価値医療の保険適用からの除外で37%でした。代表的な例として風邪症状に対するたん切り薬や抗菌薬の処方があります。効果が限定的で、自然治癒を期待できるからです。低価値医療の医療費は、1,000億~2,300億円以上と推計されています。
70歳以上の自己負担割合の拡大を求める医師も同じく37%でした。現在は74歳までが2割、75歳以上が1割を原則としつつ、70歳以上で現役並みの所得がある場合は3割、75歳以上で一定以上の所得がある場合は2割負担です。高齢社会対策大綱で、自己負担3割となる高齢者の対象拡大を検討するとしており、医師の3人に1人が拡大を支持しています。
医療費抑制への態度は立場によって大きく異なります。診療所開業医は28%が抑制に反対で、病院勤務医、病院経営者は9%でした。政府は、軽度の不調は自分で手当てするセルフメディケーションを推進しています。医師の63%が賛成、どちらかと言えば賛成と答えています。病院勤務医は賛成が70%で、診療所開業医は35%にとどまっています。

(2025年7月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)