医師の偏在―Ⅱ

偏在の要因
 医師が都市部に偏り、へき地で不足するという偏在問題は、2000年代半ばから社会問題となっています。政府は、医学部の定員増や地域医療の担い手を育てる地域枠設定を進めてきましたが、地域間の偏在解消にはつながっていません。医師の偏在がなくならないのは、医師は勤務地や診療科を自由に選べることが背景にあります。解消には、自由選択制を規制し、人口や需要に応じて医師を配置する策も考えられます。しかし、強制的な手段を取るべきではない、医師の自律性にまかせるべきだなどと、医療界には根強い反発があります。
 医師の4割は地方勤務の意思を持っています。20歳代では6割にも上っています。しかし、一方で、キャリア形成や労働環境に不安を抱く医師が多くみられます。都道府県と大学医局が連携し、地方勤務を組み込んだキャリア形成プログラムを作ることが大切です。休日の代替要員確保などで負担軽減を図り、不安払拭に努めるべきです。

(2017年12月4日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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