製薬企業が医師らに支払った講師謝金や原稿執筆料などに関する情報公開が、企業の自主ルールで始まる。今年から医師個人別の金額も開示されることになる。公開するのは、日本製薬工業協会に加盟する72社にのぼる。企業から医師などへの資金提供は約4,800億円であり、この金額は、厚生労働省や文部科学省などの国の医療分野の研究開発関連の予算2,100億円の2倍以上に及ぶ。また大学や学会に寄付の形で支払われる学術研究助成費は、536億にものぼる。
開示の方法も企業によりまちまちであり、個人情報の保護の観点から明らかな個人別開示は、困難な状況が予想される。しかしながら、こうした医師への講師謝金や原稿執筆料は、製薬企業各社からのデータをまとめた形で個人名で公表されてかまわないと思われる。講演のための謝金や原稿執筆料は正当な報酬であり、医師が確定申告すれば何の問題もない。
(吉村 やすのり)