政府は、医師や看護師など国家資格者の住所や資格情報を一元的に把握するとしています。現在は転居や離職の届け出義務がなく、緊急時に協力を依頼する正確なリストがありません。新型コロナウイルス禍では各地で医療従事者が不足して病床の確保が難しくなっています。そのためマイナンバーで管理する仕組みをつくり、将来に他の感染症が拡大した時に備えるとしています。
日本は、米英に比べて人口あたりの集中治療室(ICU)などの病床が少ないわけではありません。新型コロナの患者数も大幅に少ない状況です。それにも関わらず、コロナ患者向けの病床は各地で逼迫しています。十分な医療従事者を揃えなければ、新型コロナ対応の病床を確保したことにはなりません。各自治体は、地元の医師会や看護協会の情報を使って休職者や離職者に協力を呼びかけています。
厚労省によれば、2019年末時点の国家資格保有者は、医師が57万人、看護師が207万人です。2018年末の看護師の就業者数は121万人です。2019年末の207万人とは90万人近い差がありますが、その多くは潜在看護職員と考えられ、休職者や離職者が占められています。
(2021年1月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)