竹田薬品工業が、高血圧治療約の医師主導臨床研究において、企画の段階から組織的に関与し、有利な結果を導くための工作をしていたことが明らかとなった。武田の社員が、計画書の下書きや参加医師の選定、統計解説の項目の定義変更を働きかけしていた。この臨床研究は京都大などのチームにより2001~2005年に実施され、高血圧治療薬「ブロプレス」に有利なデータがでるように操作していた。
ブロプレスは、高血圧治療薬としてこれまで最も使用頻度の高かった薬剤であり、昨年の売上高は1,055億円にも上る。こうしたヒット薬剤に研究の公正性に疑義を生じさせたことは、極めて遺憾な事態である。京大側も武田薬品の意向を忖度することが、当然の前提となると考えていたことが伺われるとのことである。このことは、医師主導の臨床研究が掛け声倒れであったことを示している。
(2014年6月21日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)