医師偏在対策

 医師の偏在問題は、2004年に医師免許の取得後に受ける新臨床研修制度が始まってから悪化しました。大学病院が中心だった研修先が、全国の医療機関に広がりました。症例が豊富な都市部の民間病院に人気が集まり、地方の医師不足が加速してしまいました。

 政府は、2008年度から医学部の入学定員を拡大し、卒業後9年以上、特定の地域や診療科での勤務を条件とする地域枠を設けました。奨学金を貸与される例が多く、2023年度は定員の2割にあたります。

 義務年限を終えても地域に残る医師もおり、一定の効果がみられますが、偏在は解消されていません。都道府県内を複数に分けた圏域別に、医師の充足度を示す医師偏在指標をみると、最上位の東京・区中央部と、最下位の岩手・釜石は7倍の開きがあります。

 厚生労働省が総合対策づくりに乗り出したのは、今年4月に勤務医の残業時間を規制する医師の働き方改革が始まったことが背景にあります。医師が不足する地域で働く医師の手当を増額する一方、診療所が多い地域での開業規制を導入します。

(2024年12月22日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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