医師業務の分担

医師の働き方改革に向け、10月から救急救命士や診療放射線技師などの業務範囲が広がります。医師や看護師に限っていた業務を他職種で補完し、医師が必要な治療に専念しやすくします。2024年度に医師にも時間外労働の上限規制が適用されるのを前に、医療水準を保ちつつ新たな体制を整えることにしています。
業務範囲を拡大するのは、救急救命士と診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士の4種です。救急救命士は初めて病院内での処置ができるようになります。改正後は、処置の範囲が救急外来まで拡大されます。病院に到着した後の救急処置を終え、患者が入院するか入院せずに帰宅するまでの対応が可能になります。気道を確保するための気管への挿管などを医師に代わって担い、医師には手術の準備や他の処置に集中してもらいます。
診療放射線技師や臨床検査技師は、医薬品投与のため患者に注射針を刺す行為や止血が可能になります。臓器の動きを探るRI検査や超音波検査など、これまで一部に関わってきた検査について、より広範囲を担当できるようになります。
新型コロナの感染拡大に伴う医療提供体制は逼迫していますが、長期的な視点で医師の残業を減らすには、根幹の医師法の適正化や現場全体での意識改革などさらなる取り組みが必要となります。

(2021年8月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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