患者の死亡事故の原因を究明する国の医療事故調査制度で、医療事故の報告件数が低迷したままです。創設から10年が過ぎましたが、大病院の3割は1件も報告がありません。専門家の自律性を重視し、事故かどうかの判断は医療機関に委ねており、判断に不満を持つ遺族が警察に届ける件数が増えています。

日本医療安全調査機構の医療事故調査・支援センターが、医療機関からの報告を受けます。医療機関の院内調査後、医療機関か遺族から再調査依頼があれば調査します。しかし、報告対象は予期せぬ死亡に限っています。医療機関が予期した死亡と判断すれば、遺族の訴えがあってもセンターは調査できません。

厚生労働省は、病院などが医療事故かどうか判断した経緯の検証を強化します。検討会は、2025年12月に遺族への対応を含め医療機関が医療事故かどうか判断した記録を保存することを求めました。診療科レベルで医療事故でないと判断して院長まで報告が上がらないケースも多く、検討会では、院内の全死亡事例から医療事故に該当する事例を抽出し、病院全体で判断するように求めています。

(2026年3月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





