医療技術の進歩で出生時に命は助かったものの、人工呼吸器やたんの吸引などが必要な医療的ケア児が増えています。厚生労働省の推計によれば、2015年に全国で約1万7,000人(19歳以下)に上り、2005年に比べ1.8倍になっています。このうち、都内には約1,600人いるとみられます。
医療的ケア児をもつ保護者の悩みは様々です。保護者の負担を軽減する自治体が増えてきています。医療的ケア児が一時的に宿泊できる施設を設備したり、医療的ケア児がいる家庭の支援策を手厚くすることで、子育てしやすい環境づくりを進めています。通学中にたんの吸引などが必要な子どもは、これまでスクールバスに乗れず、保護者による送迎が必要でした。リフト付き専用バスを用意できる事業者を確保し、同乗する非常勤看護師も雇用する自治体もあります。都は、重い身体障害や知的障害を併せ持つ重症心身障害者がいる家庭に看護師が出向き、医療的ケアを2~4時間ほど行う自治体の事業に助成しています。
(2018年2月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)