財務省の税制制度等審議会(財務相の諮問期間)は、社会保障費の伸びを年、5,000億円弱に抑えるようにし、医師の技術料の引き下げを求めています。今後3年間の高齢化による社会保障費の伸びを、1兆5000億円に抑える計画の達成を強調しています。厚労省は8月末の概算要求で社会保障費の伸びとして6700億円を求めており、達成には2000億円程度の引き下げが必要になります。
焦点は医療サ-ビスの公定価格である診療報酬の改定です。診療報酬は、医師の技術料に当たる診療報酬本体と薬価に分かれます。薬価は薬の卸売価格に合わせて毎回下がります。問題は診療報酬本体の改定です。薬価の引き下げ幅は毎年1400億円前後です。社会保障費を2000億円程度減らすには、薬価に加えて本体もマイナス改定が欠かせないことになります。医療機関の損益は消費増税や人件費の増加で悪化し、2016年度改定で本体を引き下げれば、医療機関の経営が一段と厳しくなると訴えています。
(2015年11月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)