日本の公的医療保険制度では、患者はかかった医療費の1~3割を病院の窓口で支払います。残りの7~9割は、保険料や税金で賄われており、医療サービスが比較的安価で受けられるようになっています。その前提として、国民は公的医療保険に加入することが義務付けられており、この仕組みを国民皆保険と呼びます。
自己負担割合は、年齢や所得によって異なります。現役世代は収入に関係なく3割で、75歳以上の後期高齢者は原則1割です。ただ現役並みの所得がある人は3割負担となっています。高齢者については、かつて無料だった時期がありましたが、徐々に自己負担を増やしてきています。義務教育就学前の子どもは原則2割負担ですが、自治体が独自に助成して無料化しています。高齢者の増加や医療の高度化によって、医療費は増え続けており、医療保険の財政は悪化の一途をたどっています。現在は高齢者でも、世帯年収520万円以上の人が現役世代と同じ3割負担になっています。
(2018年6月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)