医療費控除とは、家族の1年間の医療費が一定額を超えると、税負担が軽くなる仕組みです。控除を受けるためには、所得税の確定申告をする必要があり、年末調整した会社員の場合も申告しなければなりません。医療費の総額は、生命保険などの給付金を差し引いて算出します。所得が200万円以上の人の場合は、10万円を超えると超えた分の金額を所得から引くことができます。所得税率をかけて増額を計算する課税所得をその分、減らすことができます。例えば、家族全員の医療費が30万円かかった場合、10万円を引いた20万円が所得から控除できることになります。医療費控除額は最大200万円までで認められています。
現在は1年分の領収書を保存し、確定申告の際に提出しなければなりませんが、税と社会保障の共通番号(マイナンバ-)制度で集積する医療費のデ-タを使うことで、大半の領収書は出さなくてよくなります。インタ-ネットで手続きする場合でも、領収書の内容を入力する必要がなくなります。現在は領収書の保存の煩わしさや医療機関名や投薬の内容、自己負担額などの入力の手間が面倒で、申告を諦めている人が多いといわれています。
(2015年6月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)