病気のための自分の卵子で妊娠できない女性らに対し、匿名の第三者からの卵子提供を仲介するNPO法人OD-NETは、27日に提供者の卵子と提供を受ける夫婦の精子による体外受精を2組で実施したと発表しました。OD-NETは、2013年1月より、病気で卵子は作られないが出産はできる患者に対し、匿名で卵子を提供する35歳未満で子どものいるボランティアの募集を開始しました。医学的に条件が合った2組について、不妊治療クリニックでつくる日本生殖補助医療標準化機関(JISART)の倫理委員会が、治療実施を承認したと今年4月に明らかにしていました。
わが国における卵子提供による出産は、長野県の諏訪マタニティ-クリニックが1996年~19997に、妹の卵子を姉の夫の精子と体外受精させて姉が出産する治療を実施しました。それ以降、JISARTに加盟する不妊治療クリニックが独自に基準を定め、姉妹や友人からの卵子提供で24人が誕生しています。厚生労働省の審議会が2003年、無償で匿名の第三者からの卵子提供を認める報告書をまとめ、法整備も求めましたが、まだ法律は出来ていません。現在、自民党の生殖補助医療に関するPTが、卵子や精子の提供による生殖補助医療で生まれた子どもの法的地位についての法案を今国会に提出しようとしています。
(2015年7月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)