千葉県浦安市は、加齢による不妊を避ける目的で、健康な女性が卵子を凍結保存する拠点整備に向け、研究支援名目で順天堂大浦安病院に、2015~17年度の3年間に計9千万円を補助する方針を明らかにしています。専門を持つ職員の人件費や凍結保存費用に充当することが可能で、浦安市在住の女性は保険適用と同様の3割負担で利用できるようにするとしています。
日本生殖医学会は、13年にがんなどの医学的理由と、加齢などの社会的理由による卵子、卵巣の凍結保存を容認するガイドラインを決めています。実際に、実施をしている民間施設は複数ありますが、自治体が資金を拠出するのは初めてです。市長は、不妊治療で苦しんでいる人は多いが、国の制度は不十分で、浦安市が一石を投じていることが、国の制度の充実に向けた第一歩になればと話しています。晩婚、晩産化が進み、加齢で妊娠が難しくなる卵子の老化も知られるようになりましたが、卵子凍結保存はこれを避けるための方策とされています。しかし、卵子凍結に対する費用の一部を自治体が補助することになれば、若い女性に卵子の凍結保存を推奨することにつながるのではないかと危惧されます。少子化対策の一環とも考えられるが、税金を投入するのはいかなるものか、疑問を投げかけざるを得ません。
(吉村 やすのり)