当院で周産期管理をした卵子提供による25妊娠の転帰を通常の妊娠および40歳以上で自己卵子による体外受精による妊娠と比較した。 卵子提供による妊娠の母体年齢は、平均47.7歳であり、米国での実施が25例中21例を占めていた。平均胚移植数は2.3±0.6個であり、多胎率は32%と当院における自己卵子による体外受精(5.3%)に比較して高値を示した。前置胎盤、妊娠高血圧症候群、産後弛緩出血、妊娠糖尿病、切迫早産の発生率は、一般集団や自己卵子による体外受精に比較し、高値であった。
近年、卵子提供によるに妊娠は増加傾向がみられている。クライエントが高齢で、かつ多胎妊娠が多いことより、医療者は卵子提供による妊娠がハイリスクであることを意識しておくことが大切である。しかし、卵子提供そのものが妊娠経過に悪影響を与えるか否かについては、まだ決定的なことが言えず、より多くのデータの集積が必要となる。
(吉村 やすのり)